事業の立て直し方法(経営改善計画)
近畿税理士会の研修で「中小企業経営改善計画策定支援研修会」に参加してきました。
神戸市垂水区で活動しています税理士の大西です。
事業を立て直することを難しい言葉を使うと「経営改善」と言います。
事業立て直しを考えることを「経営改善計画」といいます。
本当に難しい言葉ですね。
だれが考えるんでしょうね。
こんなに難しい言葉。
もっとわかりやすくしてれるとありがたいのですが・・・。
私個人が思うことですが、日本の企業はまだまだ事業が好転しているとはいえない状況です(大企業は改善されているようですが・・・)。
幸い、私がお手伝いさせていただいてるお客様はそのようなところはないです。
実際、金融機関へのリスケを行う企業は多いようですね。
リスケとは、債務の返済条件の変更のことで、例えば、1000万円を返済期間10年で返す約束をしたにも関わらず返されない場合には、毎月の返済金額を少なくして返済期間を延ばすことです。
リスケも実は、事業再生のひとつなんです。
事業再生には、
法定整理 と 私的整理 があります。
法的整理で、再生手続きには、会社更生法・民事再生法 があります。
法的整理で、清算手続きには、破産・特別清算 があります。
法的整理の場合には一般商取引債権者と金融機関は同等に取り扱われます。
私的整理で、再生には、権利変更する債権者が全員同意すれば成立します。
⇒すべての債権者の同意を取る必要はないことになります。
一部の債権者の支援(同意)があれば、比較的簡単に進めることができる(この場合の債権者は金融機関となります)
これは、秘密裡に進められる案件であるため、取引業者に私的整理を進めている状況を知られることはないとのこと。
私的再生をする場合には、金融機関との対応を取る必要が出てきます。
銀行は貸出先に対して、債務者区分を行っています。
その内訳は、
大手行は、約90%が正常先債権者
地域銀行は、約80%が正常先債権者
信用金庫は、約70%が正常先債権者(資料は、日本銀行を参考)
裏を返せば、大手行で10%、地域銀行で20%、信用金庫で30%の割合の貸出先の状況はよろしくないということになります。
金融機関であっても、業態や規模によって貸出先の債権者区分が異なるのが現状です。
理由としては、
大手行は、元請や一次下請けが取引先に多い
地域銀行は、一次下請けや二次下請け・三次・四次下請けが取引先に多い
信用金庫は、上記以外の取引先が多いことが挙げられます。
銀行の債権者区分の正常先債権者を見る事業再生を必要とする事業者は、小規模事業者が多いことが予想されますね。
貸出先の状況がよろしくない企業は、事業再生を行う必要が出てきます。
実際の事業再生のプロセスを考えてみると
再生計画成立後おおむね5年以内に実質債務超過解消
再生計画の成立後おおむね3年以内に経常黒字化
再生計画の終了年度(債務超過解消年度)における有利子負債の
対CF倍率がおおむね10倍以内
をクリアーすることが条件ですね。
正常先債権者になるためには、経営改善を行う必要があるということですね。
会社内部で経営改善計画を策定するのは、難しいため専門家に依頼をして作成してもらうこととあります。
専門家に依頼するため、当然費用は掛かります。
しかし、安心してください。
国からの補助が出ます。
その補助について、
認定支援機関による経営改善計画策定費用や資産査定フォローアップ費用につき、総額300万円を上限*として、その2/3を国から補助される(企業の実質負担は1/3)
といっても、経営改善を行わなければならない企業には2/3の費用を負担してもらっても1/3は支出すべきとなるため痛い出費に違いない。ただし、1/3の出費ができない事業者は、もともと再生する力もないとみられるわけですね。
企業の規模によって上限金額は異なりますので、ご注意を!
認定支援機関とは、中小企業が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関として位置づけられています。(ミラサポ、https://www.mirasapo.jp/ninteishienkikan/about.html)
経営改善計画策定支援事業をうけるような企業とはどのような企業か?
優良企業は常に「経営改善」に取り組んでいるので、支援事業をうける必要はない。
優良企業ほど、改善策を考え、常に経営改善を図っていますね。
大企業も改めて考えれば、経営改善に取り組んでいますね。
例えば、パナソニック。
創立当時は、二股電球でしたね(誤っていたら申しわないです)。
それが今では、テレビ、冷蔵庫、カーナビなど。
常に経営改善を行い、事業形態を変更してきたんでしょうね。
どの時点で経営改善を行うのか?
創業してから、売上高・利益が増収増益から減収減益へとなり始めたら、要注意ですね。
突発的な経済事象などの外部要因がある場合は除かれると思うますが・・・。
今回は、経営改善について書いてみました。
ご参考にしていただければと思います。