法人成りをすべきか考える場合
神戸市垂水区で活動しています税理士の大西です。
個人事業者が事業を行う上で悩み事の一つが法人成りをするか否かがよく聞くことです。
今回は、法人成りについて考えてみたいと思います。
消費税の事や社会保険のことなど法人設立に伴って考えなければならないことも多いです。
しかし、今回は所得金額(もうけた利益)をフォーカスして考えてみました。
よく「売上高が多額に計上されてきた」からとか「所得金額が多くなってきた」とかで、
事業に関連する周りの人からそろそろ法人にすることも考える必要もあるね!と言われることが多くなると思われます。
確かに、税金のことだけを見れば、法人に移行した方がよい場合もあるも事実。
そのような中で、漠然と会社組織として設立した方がよいのか?と考えている方もいらっしゃるかと思いますので、そんな方のお助けになればと思います。
最初に「法人成り」とは、個人事業を行っている方が法人組織に移行することを言います。
法人は出資などの方法により設立されます。
法人には、いくつかの種類の法人形態があります。
代表的なものは、株式会社です。
他に、一般社団法人、合資会社、合同会社、合弁会社などがあります。
最近は、合同会社○○ という法人組織もありますが、やはり株式会社で設立する方が多い。
合同会社は、設立時に係る費用が少なくするメリットがあります。
法人化したときのメリットとは、以下のようなものがあります。
1.社会的信用力が高い
株式会社は、設立時に係る費用は結構かかるが、社会的信用力という側面からは一番信用力が高いだろう。
ただし、会社法により株式会社は、資本金が1円から設立できるようになったために資本金1円で設立している株式会社の信用力はないに等しいかもしれないので、その点では社会的信用力について注意が必要です。
2.有限責任である
個人事業の場合には、すべてについて無限責任です。
しかし、法人の場合には、有限責任となります。
3.資金調達がしやすい
融資が受けやすいというメリットとして挙げられます。
次に、実際にどのくらいの利益(課税所得)になると法人成りが有利か計算してみます。
前提として、個人事業者は、社会保険控除や生命保険控除、扶養控除などあるため一概なことは言えません。
しかし、今回は青色決算書の所得金額(青色申告特別控除後)、扶養者「0人」を基準として掲計算することとしました。
法人は、株式会社(資本金500万円)を前提としています。
法人での役員報酬は、個人事業の時の所得金額の半分と仮定して計算しました。
税率は以下の通りです。
法人税について
法人税に税率は15%
地方法人税の税率は4.4%
地方税について
兵庫県の場合は
事業税 3.4%
地方法人特別税 43,2%
法人県民税の税率が3,2%
均等割りが22,000
神戸市の場合は
法人市民税は12.3%
均等割りが50,000
上記の税率に従い、所得金額を計算しました。(計算過程は割愛します)
所得金額が300万円の場合
個人事業の場合では、所得金額が300万円の場合には、
所得税と住民税、事業税を考慮した税率は約15,6%。
これに対して法人利益150万円、役員報酬150万円の合計300万円で計算した場合には、法人の税額と役員報酬の税額を合計した場合の税額負担は、約16,3%。
よって、所得金額が300万円の場合には個人事業を継続した方がよい結果となった。
所得金額が400万円の場合
個人事業の場合では、所得金額が400万円の場合には、
所得税と住民税、事業税を考慮した税率は約17,9%。
これに対して法人利益200万円、役員報酬200万円の合計400万円で計算した場合には、
法人の税額と役員報酬の税額を合計した場合の税額負担は、約16,5%
よって、所得金額が400万円の場合には個人事業を継続した方がよい結果となった。
所得金額が500万円の場合
個人事業の場合では、所得金額が500万円の場合には、
所得税と住民税、事業税を考慮した税率は約22%。
これに対して法人利益250万円、役員報酬250万円の合計500万円で計算した場合には、
法人の税額と役員報酬の税額を合計した場合の税額負担は、約16,6%
よって、所得金額が500万円の場合には、法人成りした方がよい結果となった。
これらの計算から判断すると、法人成りへの所得金額による判断基準額は500万円となります。
まとめ
税金の側面から、法人成りと個人事業のままとの比較をしました。
これは、一定の基準で参考にしていただければ、幸いです。
ただし、法人成りにしろ、個人事業のままで行くのかは、経営者がどのような考え方をされているのか?
また今後、どのようにしていきたいのか(将来なビジョン)によって変わるものです。
そのような経営者の考えを考慮するともっと違う計算結果となる場合もありますので、最終的には、経営者の思いを尊重したいものですね。
他に法人成りに関して注意すべきこととしては、社会保険料のことも考慮すべき箇所です。
個人事業者の場合で従業員を雇用していても、社会保険に加入する必要がない場合もあります。
しかし、法人となりますと社会保険加入は絶対加入になりますので、ご注意していただきたいです。
注意)法人成りのシュミュレーションは、様々な要因を考慮して考えないといけない場合あります。
今回の計算では、考慮していないことあります。
詳細な法人成りをお考えの方は、お問合せフォームからご連絡ください。