現在適用されている法人税の改正点と私が思うこと
神戸市垂水区で活動しています税理士の大西です。
法人税、所得税、消費税、相続税などは、毎年のように改正されています。
去年まで適用できた方法が今年は法律が改正になったことで、適用できなくなったこともあります。
そこで、平成28年度の改正点のうち、よく使う事項を見直してみます。
(大法人ではなく、家族経営的な同族会社が前提です)
法人税について
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法人税の税率の変更あり
対象法人〔中小法人・一般社団法人等〕
平成28年4月以降は、課税所得800万円を超える税率が23.4%となった。(以前は、23.9%)
課税所得800万円以下は、現行と同じで15%
⇒課税所得が800万円を超える法人以外は、全然恩恵はありませんね。
そんに儲けている法人はあるのかな?
- 欠損金の繰越控除の期間が延長された
(欠損金の繰越控除とは、過去に赤字の決算を迎えた法人は、その赤字を黒字になった事業年度から相殺できる制度)
赤字が今までは9年間しか繰越ができなかったが、平成30年4月以降は、10年間となった。
この延長により、書類等の保存も10年間保存する義務が延長された。
⇒景気がだいぶんよくなったと思っていたら、最近はまた悪くなる傾向にあるため、期間延長はよいですね。ただ、会社の体力がもつのかという不安はありますが・・・。
10年間のも欠損金を使用するのではなく、健全な会社運営ができるようになることが第一ですね。
- 減価償却の償却方法
平成28年4月以降に取得した資産のうち、建物付属設備及び構築物の減価償却方法が定額法のみとされた。
今までは、定額法・定率法の選択が可能であった。
ちなみに建物付属設備とは、次にようなものをいいます。
電気設備(照設設備を 含む。)
給排水又は衛生設備 及びガス設備
冷房、暖房、通風又は ボイラー設備
消火、排煙又は災害 報知設備及び格納式 避難設備
昇降機設備
エヤーカーテン又はド アー自動開閉設備
店用簡易装備
消化、排煙又は災害放置設備及び格納式避難設備
エアーカーテン又はドアー自動開閉設備
アーケード又は日よけ 設備
など
減価償却の償却方法は、定額法と定率法があります。
この違いは、簡単に申し上げますと、定率法は、取得から経費となる償却費が多く計上できる計算方法です。
そのため年数が経過すると経費になる金額も少なくなります。
これに対して定額法は、毎年同じ額の経費を計上する計算方法です。
そのため年数が経過しても経費となる金額は一緒です。
⇒法律上の対応年数と実際に使用した場合の対応年数では、解離している場合が多いので、会社(法人)としては、早く経費計上できる方法を選んだ方がいい場合が多い。
それを考えると、早く経費にできないことから、会社にとってはいいことではないでしょうね。
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例制度
平成30年3月31日まで期間が延長された。
また、常時従業員の数が1000人の法人に限定された(1000人を超える法人では適用除外となった)
この法律は、簡単に申し上げますと取得価格が30万円未満の資産を購入しても、全額経費として計上してもいいですよという会社(法人)にとってはありがたいものです。(ただし、青色申告を提出している法人だけの特典ですが・・・)
また、上限はありますので、ご注意してください。
⇒これは、減価償却の償却方法の箇所で書いたように実態と法律の対応年数が離れているので、即時に経費になるから、完全に会社(法人)有利になっている!
また、よく利用する法律のため、従業員さんが多数いる法人さんは、それなりに体力あるから、この法律を適用しなくてもいいよという考えですかね。
- 生産性向上設備等を取得した場合の特別償却
即時償却は廃止
ただし、特別償却は税額控除制度は、まだ適用中(平成29年3月31日まで)
ちなみに生産性向上設備等は、以下のようなことをいいます。(国税庁のHPより)
産業競争力強化法第2条第13項に規定する生産性向上設備等とは、商品の生産若しくは販売又は役務の提供の用に供する施設、設備、機器、装置又はプログラムであって、事業の生産性の向上に特に資するものとして経済産業省令で定めるもの(いわゆる「先端設備」又は「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」に該当するもの)をいいます(産業競争力強化法2、経産省強化法規則5)。 この「先端設備」とは、次のイ及びロの要件をいずれも満たす設備とされています(経産省強化法規則5一)。
- イ 最新モデル要件(設備等ごとに販売開始年度内で最新モデル又は販売開始年度が取得等年度若しくはその前年度であるモデルであること)
- ロ 生産性向上要件(旧モデル比で生産性指標(生産効率、エネルギー効率、精度等をいいます。)が年平均1%以上向上していること(ただし、比較対象となる旧モデルが販売されていない場合にはイの要件のみ)) また、「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」とは、本制度の対象となる設備のうち、法人(事業者)が策定した投資計画(投資利益率が15%以上(中小企業者等は5%以上)となることが見込まれるものであることにつき経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けたものに限ります。)に記載されたものとされています(経産省強化法規則5二)。 なお、この生産性向上設備等の範囲など産業競争力強化法に関する内容については、経済産業省のホームページ(http://www.meti.go.jp/policy/jigyou_saisei/kyousouryoku_kyouka/seisanseikojo.html)をご参照ください。
⇒経済産業省の求めに応じた政策だったので、その期限が到来したので、打ち切りになったのでしょうね。
会社(法人)にとって、うちきりは痛いですね。
まあ、期限を定めていたので、それまでに活用しなかった方がいけなかったともいえますが・・・。
上記以外もありますが、結構量が多いので次の機会にします。